【映画 / 2003年】
母親の仕事の都合で農村にあずけられた主人公の男の子とその祖母の生活を描いた話。(韓国の2、30年前?くらいのお話っぽい)
舞台は外国なんだけど日本人の目から見てもものすごく共感できる部分が多い。
夏休みに初めてあずけられたおばあちゃんの家。口が利けず腰の曲がった梅干しみたいなシワシワの老人を忌避して思わず距離を置いてしまう子どもの気持ち。反対に慣れない子どもとどう接していいかわからないおばあちゃんの気持ち。
おばあちゃんのセリフがない分普通の映画とくらべると情報量は少ないはずなのに表情や仕草でそういった感情が率直に伝わってくる。オーバーなアクションでなく自然なのもいい。
自分も幼少期の夏休みは祖母の家にあずけられた経験があったので、それもあって「こういうのあるある」と思いながら観ていた。
たしかにおじいちゃんおばあちゃんって子どもの流行りやしてほしいことがわかんないよね。孫が可愛くて好きな食べ物を作ってやろうと頑張るのに今どきの料理を知らなくて孫の希望どおりにできないシーンがあって、アァ〜〜と納得してしまった。それに対して失望して癇癪を起こす子どもの気持ちも、これまたアァ〜〜なんですよね。泣き喚いて疲れて寝て、夜遅く空腹で目を覚ましてその残った料理をコソコソ食べるところまで含めてアァ〜〜なんだ。
主人公がどれだけワガママや八つ当たりをしてもそれをとがめず静かな目をしているおばあちゃんの愛情がとにかく泣けた。
貧しいから自分は食べずに孫にだけ食堂でおいしいものを食べさせてやる場面や、孫のためにゲーム機の電池のお金を無言でそっと包んでやるシーン、眠ってしまった孫の上に布団をかけてやる仕草のひとつひとつに無償の愛情を感じてドバドバ泣いた。子どものころ自分を可愛がってくれた祖父母もこんな気持ちだったのだろうかと考えた。
初めのうちはおばあちゃんに心を開かずワガママでひとりでゲームばかりしていた主人公だけれど、そういった愛情を受けてすこしずつ打ち解けていく姿には非常に心を打たれた。
子どもなりに空気を読んでここはお手伝いした方がいいかなとか、おばあちゃんに悪いことをしちゃったかもとか、じょじょに気を遣いはじめるようすが言葉はなくとも気まずげな視線からうかがえる。この映画はけして劇的な出来事がある作品ではないけれど、生活の中でゆっくりと丁寧に描かれる二人の絆がとてもよかった。
夏が終わっておばあちゃんの家から帰るときのあの寂しさも絶妙にリアルに描写されている。最後の十分くらいは嗚咽をもらして号泣しながら観た。おばあちゃんに挨拶しなさいって母親に言われて何を言えばいいのかわからなくて何にも言えない主人公の気持ちもひしひしとわかった。
老若男女、どんな国のだれがみても楽しめるヒューマンドラマだと思う。夏のあいだにぜひ観てほしいイチオシ作品です。
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