ビバリウム

洋画/2021年公開

イヤな気持ちになりたいときに観る映画。

結婚後のマイホームを探しているカップルが一軒家の内見に行ったところ、不動産屋の男が突如姿を消し、住宅街をどう歩いても外には出られず、どこの誰かもわからない赤ん坊を押しつけられ「育てるまで解放しない」と不条理を突きつけられる話。まったく同じ建物と雲がどこまでも続く無味無臭の無機質な住宅街、いつの間にかダンボールで届けられる味のしない食べもの、ものすごい速度で成長する気味の悪い子どもといったすべての要素が視聴者を終始不安にさせる。カッコウの托卵をテーマにした作品。

自分がこうなったらイヤだなと思う要素を順番にお出しされるのがすごい。

・味がしないかなんとなくまずい食べもの→最悪すぎる。無理。
・どこの誰かもわからない赤ん坊を育てるはめになる→怖すぎ。
・成長した子どもが自分をママって呼んでくる→もう無理。
・子どもが突然奇声を発する、あるいは自分の言葉の真似ばかりをする→今すぐコイツの口を塞げ。

女性目線で生理的にイヤな部分が目についたが、たぶん男の人が観ると男性目線でも鬱になる要素が多いと思う。嫁さんが自分より子どもを優先しようとするとことか。

中盤で主人公たちの乗ってきた車の電源がまだ生きてることに気づいて外の世界の音楽に喜んで踊るシーンがあるんだけど、そんなことでそこまで喜べるというのが観ててキツくて、人間が発狂しないギリギリを描いているのがすごかったと思う。

最後まで救いがなくて陰鬱で不気味でこれどうなっちゃうの………………という不安がいつまでも続く映画でした。子どもの表情とか喋り方が人間らしくないのがすごい怖かった。個人的にはイヤな気分になる映画好きなのでよかったです。キモかったけど。